<ビオキッズ2002・所見及び考察>

    
(H14.04.13)
昨年に引き続き、2年目のビオキッズ。ビオトープを利用してもっとすばらしい自然体験ができないものかと、ネイチャーゲームをとりいれてドキドキワクワクの自然体験ツアーを計画しました。自然環境についての勉強会ではなく、具体的でなくても感覚的に、自然っていいなーと感じてもらおうと考えました。

1回目の目的は、普段は見過ごしてしまっている足元の自然に目を向けて、じっくりと自然を感じてもらう事、そしてチームの仲間と仲良くなってもらう事の2点です。その為にチーム毎にネイチャーゲーム(フィールドビンゴ)を行ない、その中で自分たちのチーム名も決めてもらい最後に発表してもらう事にしました。

最初に集まった時は、なかなかみんなにとけ込めない子や、みょうにはすにかまえた子がいたりと、この後どうなるんだろうとひじょうに心配しましたが、外に出たとたん目の色が変わり走り回る姿にほっとひと安心しました。
ネイチャーゲームでは必ずわかちあいという時間があります。自分の思った事や感じた事を話し合う時間です。ここでも最初はなかなか話せなかった子もチームリーダーが雰囲気づくりに心がけてくれたおかげで、終わり頃にはみんなにとけ込んで話すようになりました。

普段は家の中でテレビゲームをやっている子でも自然のフィールドへ出ればこんなにも元気になるものだと、自然の持つ野生を呼び起こす力にあらためて驚かされました。
おもいでノートより

・ はじめてきたわけでもないのにしぜんをはじめて見たようにかんじた。
・ にんていしょうをもらえてうれしかった。
・ みんなといっしょにあるいてたのしかった。
・ ひさしぶりにウグイスのなきごえをきいて春だなぁとおもいました。
(H14.05.26)
昨年つくったビオトープ。今年も更なるハードの充実をはかりました。
中州と保護池側が薮田川で分断されている為、ここに橋を架けて全体に回廊性をもたせれば、もっと観察がしやすくなるのではと考えました。そこで中州にはチップロードを、川には丸太橋を架ける事にしました。

今回の目的は、共同作業によりチームワークの大切さ、素晴らしさを感じてもらう事です。みんなで力をあわせて一つの事をやりとげる素晴らしさを体験してもらおうと考えました。そして自分たちの力で造る事でこの場所に愛着をもってもらおうと思いました。

昨年は、大きな作業や力仕事は、青年会議所のメンバーがやりましたが、今年はあえて小学生に作業してもらいました。カケヤで杭を打ったり、手押し車でチップを運んだりとかなりの重労働かと思われましたが、普段やった事がない作業の為か、みんな張り切ってやっていました。男の子の方がこういう事には興味があると思っていましたが、むしろ女の子の方が積極的に取り組んでいました。
そんな中、手押し車が丸太に引っ掛かってなかなか進まない時に、みんなで協力し合って車を進めていた姿がとても印象的でした。チームワークが芽生えてきたようです。

ネイチャーゲームは、カモフラージュを実施しました。草むらの中に置いてある人工物を見つけ出すゲームです。12個あった物をなかなか全部は見つけられなかったようですが、とても楽しかったようです。楽しみながら自然と接する、このゲームのねらいでもあります。小さな生物は、自然の中にとけ込んで身を守っているんだよという擬態について学びました。
保護者様感想より

・ 迎えに行くとビオトープにすてきなチップロードと丸太橋が作られていてビックリしました。
・ チップロードを歩いてみましたがとても気持ちよく、ずっと歩いていたい気分でした。
・ この後何度もビオトープに遊びに行き、弟に一生懸命説明していました。「ここは自分たちが作っているんだゾ!」という気持ちがあるようです。
おもいでノートより

・ くいうちをしたこと!(すっきりした!)
・ シートだけだった道に木をつけたりチップをまくのがすごくたいへんだったけれど、きれいにしあがったからうれしいです。
・ カモフラージュゲームがすごく大変だったけど、楽しかったー!
(H14.07.20〜21)
一泊の夜間観察です。今回の目的は、より深く自然を体験し感じていただく事です。普段なかなか経験できない夜のビオトープ観察、ここビオキッズの里は人工の明かりがなく、夜になると真っ暗になります。そんな環境で静かにじっと自然にとけ込めばより深く自然を感じてもらえると考えました。また生物観察も今回行ない、直に生物に触れてもらいました。夜と昼を観察する事で、生物の行動やまわりの環境の違いを体験できると考えました。
お泊りという事もありみんなの期待も大きかったようです。本事業のメインといってもいいと思います。

1日目は明るいうちにカブトムシの捕獲作戦とコーロンの設置を行ないました。次の日に期待していたのですが残念ながらカブトムシはとれませんでした。もっと早い時間でないとだめだったようです。しかしコーロンには魚がいっぱい捕れていました。子供たちは金川先生からカワバタモロコを教えてもらい大喜びでした。

今回のネイチャーゲームは「目かくしいもむし」と「まほうの黒い鍋」です。人間はほとんどの情報を目に頼っています。目かくしをする事で他の感覚が鋭くなります。太陽の暖かさや風のにおい、そして足裏の感覚などでじっくり自然を感じてもらいました。「まほうの黒い鍋」では、ロウソクの灯りがゆれる幻想的ななかで今までの思い出を語ってもらいました。リーダーの力量が問われる難しいゲームで少しバラバラになりましたが、時間いっぱいいろいろな事を話し合っていました。

宿泊所ではチームを離れて仲良しグループで寝ていました。地域や学年を超えた友達もたくさんできたようで微笑ましい光景でした。

夜と昼の違いを書いてもらったところ、朝、ぬれていたとかしめっていたなどと朝露に驚いていたようです。普段はアスファルトの上しか歩いていないのか、こんなところにも子供たちがいかに自然から離れて生活をしているかがうかがえました。
おもいでノートより

・ 夏美ちゃんとりほちゃん、あすかちゃんと魚のわなをしかけて魚をとったこと。
・ 1日目にしかけをつくりしかけておいて2日目にどうなっているか見た。木にしかけた所はなにもいなかった。でもペットボトルのやつには、たくさんの魚がかかっていた。カワバタモロコもいた。金色のうろこがきれいだった。
・ 魚をつかまえたこと。こうろんの中にえさを入れてまっていると、魚がつかまる。わたしがしかけた中に、一番大きな魚(ふな)いたからうれしかった。


(H14.10.06)
ビオキッズ2002もいよいよ最終回です。今回の目的は親子のふれあいとビオキッズの里をもっと大勢の人に理解と認知をしてもらう事です。青少年健全育成には今、地域の教育などが重要だといわれています。しかし根本的に家庭教育がないところにはその上の教育はないと思います。今までビオキッズ2002で経験してきた事を子供から親に伝えてもらおうと思いました。子供の成長を実感でき、家に帰っても共通の話題で盛り上がってくれれば明るい家庭教育環境ができ、そしてそれがそのままビオキッズの里の理解と認知に繋がると考えました。

今回は4月に行なったビオキッズウォークをビオキッズの里の周りで行ないました。やり方や自然への接しかたなど子供から親へ説明してもらいました。観察力の鋭さにやはり驚いていました。歩きながら同時に行なったゴミ拾いでは想像以上にいろいろなゴミが捨ててあり、こんなところからも環境破壊とモラルの低下が垣間見られました。
ビオキッズの里については子供たちが手をかけてきれいにつくりあげたチップロード(ドニーの小道と命名)を見て皆さん感心していました。すでに何回も来てくれた親子もいました。家に帰って子供が毎回あったことを楽しそうに話していたようです。
またこのビオキッズの里に住む生物コーナーで、金川先生が説明するよりも早く魚の名前を言ったり、親には見分けがつかない魚もすぐにわかってしまうようです。さすがはこの場所で育ったビオキッズ!確実に成長しているようです。親をリードして案内する姿などは「ここは僕たちがつくったんだぞ」と堂々としたものです。おもいでノートも最初に比べるとはるかにきっちりと書いてくれました。

楽しく親子で歩く姿や、この場所の事を得意に話す子供をみて今回親子のふれあいの場所、団欒の話題提供ができ、そしてビオキッズの里の理解と認知ができたと考えます。
 おもいでノートより

・ お母さんや、あずさちゃんとビオキッズの里を歩いた事!ドニーの小道にはキノコがはえててビックリ!フワフワ〜
・ 木でキーホルダーを作って、いろんなことができるんだーと思ってビオキッズ2002をしててよかったなーと思ったよ。もっときれいになって、いろんな生物がすめるといいなと思いま した。
・ みんなでいっしょにいろいろかんさつできたことがいちばんよかった。またらいねんもやりたいです。
・ 友だちと仲良くなれたこと。

(全文掲載)

終わりに・・・
現在、私達が生活を営んでいると、無意識のうちに少なからず環境に影響を与えてしまっているかもしれません。豊かで便利な生活を求めている限り、この事実は変わらないでしょう。そんな中で私達はどのようにして自然環境の保全をしていかなければならないでしょうか。環境問題は今や待ったなしの状態です。

そこで私たち(社)藤枝青年会議所は環境に配慮できるような人を育てることが重要だと考えました。環境に配慮できるようになるには、まず自分の身の回りの環境に関心を持つことから始まります。ビオトープはまさに自然とふれあう場所であり、人間も自然の一部であることに気づいていただける場所であると思います。

昨年度の事業「夢づくり21」で、小学生36名にビオトープづくり通して自然環境復元の難しさ、命の大切さそしてなかまの大切さを1年間通して体験してもらいました。本年度もこの事業を継承し、新たにネイチャーゲームをとり入れて自然により近づいてもらおうと考えました。ネイチャーゲームは五感をめいっぱい使い自然を感じるプログラムです。「なかまづくり」と「命の大切さ」の他に「自然への気づき」が今回のもうひとつの大きなテーマでした。自然と一体になって、人間も自然の一部なのだと感じていただけたと思います。地球上で人間だけが特別な生物であるはずがありません。人間のわがまま、エゴをなくしていく事が環境保護の第一歩なのではないでしょうか。

青少年育成についていえば、イジメや不登校さらには少年犯罪の低年齢化とあらゆる問題が社会的に取り上げられています。学校教育の他に地域の教育など、今NPOなどいろいろな団体が活動を始めています。そのような活動が重要である事はもちろんですが、やはりもっとも基本になるものは家庭教育ではないでしょうか。明るく笑顔が絶えない家庭や親子関係が子供に悪影響を与えるはずがありません。今回子供たちが体験した事を保護者の皆さんに子供から伝える事により、その成長を肌で感じていただけたと思います。秋空の下、親子でゆったりと自然を感じるひとときを保護者の皆さんは実に新鮮に、また楽しく過ごしていただけたようです。保護者感想から家庭に帰って親子でビオキッズ2002の事を話す姿が目に浮かび本事業の成果を確信しました。

青年会議所は単年度制といって、一年間で担当者が替わってしまいます。継続して長い間一つの事業を展開していくには限界があります。しかし本事業に関しては二年間継続してきましたし子供や保護者からも来年以降も続けてほしい意見が多くありました。ビオトープ自体の維持管理も考えていかなくてはなりません。そんな中、(社)藤枝青年会議所のメンバーの中からビオキッズ事業など青少年育成を核とした「まちづくり」を考える特定非営利活動団体、NPO法人「夢づくり21」を設立しこの事業を継承していこうという動きが芽生えています。この様な活動が発生した事も、本事業のもう一つの大きな成果ではないでしょうか。

青少年の健全育成を考えて一年間活動してまいりましたが、この成果がすぐに出てくるとは思いません。今回のビオキッズが親になりその子供がまた親になりと、本当の成果が現れるのは次世代、三世代先かもしれません。

最後に、本事業を進めるにあたり、昨年からビオトープづくりや青少年育成プログラムなどで山田先生や金川先生をはじめ、ご指導ご協力をいただいた多くの方々に感謝を申し上げて報告とさせていただきます。ありがとうございました。


2002年度(社)藤枝青年会議所
  ビオトープ青少年育成委員会

       委員長  長島 吉樹
      副委員長  西野 浩史
              澤山 嘉信
              朝比奈郁夫
              松本 雅成
              内田 達也
              石川 優治


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