<ビオキッズ体験学習・考察及び所見>


第1回ビオキッズ体験学習(H13.03.24)
第1回目の目的は、「自然に触れる事の楽しさを知ってもらう事」「薮田川の現状を知ってもらう事」「チーム毎仲良くなってもらう事」の3点です。その為の手法としてチーム単位で魚とりをして、どんな魚が採れたかを発表してもらおうと考えました。

最初のうち、子供達は「タモ」の使い方がよくわからなかったようで、ただひたすら水面をなでているだけでした。しかし、チームリーダー(青年会議所メンバー)が「タモ」と「コーロン(しかけ)」の使い方を説明し、実践してみせると徐々にコツをつかみ「ハヤ」「メダカ」「モロコ」などが採れるようになってきました。そんな中で、チームリーダーとの信頼関係ができてきたようでした。後半戦では泥だらけになりながら無邪気に遊ぶ彼らを見て「自然が子供達の心の中に眠っている野生の部分を呼び戻した」と感じました。

そんな彼らもみんなの前で発表する事は苦手な様子でした。初対面の人が多い中、彼らも緊張していたのでしょう、ほとんどがチームリーダーからの発表になってしまいました。
<感想カードより抜粋>
              ・ドロにはまったことが楽しかった。
              ・いっぱい魚を捕まえる事ができて良かった。
              ・友達ができて良かった。
第2回ビオキッズ体験学習(H13.04.14)
第2回目の目的は、「なぜビオトープが必要なのかを知ってもらう事」そして「どんなビオトープをつくったら良いのかをみんなで考えてもらう事」です。前回に比べ難しい内容なので子供達が飽きずについてこれるかとても心配でした。

山田先生のユーモアを交えた「ビオトープ解説」を聞いた後、実際に保護池周辺を観察し、チーム毎に「そのままで良い箇所」「直したい箇所」を話し合ってもらいました。絵の上手な子が模造紙に全体図を描き、その上にみんなで生物の絵や文字を書いたり、チェックシールを貼り1つの作品を創っていく過程で徐々に仲間意識が芽生えてきたようです。

鉄分が多くオレンジ色に染まった第1保護池を見て、「甘口カレーの池」と表現する感性には驚かされました。
・橋が壊れていて危ないので、新しくして欲しい。
・ほご池の廻りを歩けるようにして欲しい。
・川辺に降りられる空間が欲しい。
・生物の家を創りたい。
・木を植えたい。
・草刈りをして欲しい。

全員の意見をまとめたこの1枚の絵が、「子供達が考えた」という意味で、この事業における非常に重要な物だと言えるでしょう。
「次回は、これをみんなで創ろう!」と言うと子供達は目をキラキラさせて喜んでいました。
第3回ビオキッズ体験学習(H13.05.27)
この事業において「みんなで協力して、頭と体を使い、1つの物を創っていく」という作業は今回がメインになります。子供達に「力を合わせる事の素晴らしさ」を伝える事が今回の目的です。

子供達はチームに分かれ「しつらえ」(生物誘致の為のしかけ)を担当しました。
「トカゲハウス」「クワガタハウス」「ハチハウス」各チームリーダーから「生物の特性」や「しつらえの完成イメージ」の説明を受けた後、石を運んだり木を切ったり、みんなで力を合わせて一生懸命に取り組んでいました。教科書や図鑑で見るよりも生物を身近に考える事ができたと思います。また、普段接する事の少ないであろう高校生達とも積極的に話をしていました。これも「自然の中」という環境がそうさせたのでしょう。

ただ、慣れてきた為でしょうか、時折チームから離れ単独行動をしてしまう子供もいたようです。チームリーダーの子供達を呼ぶ大声があちらこちらから聞こえてきました。
<感想カードより抜粋>
             ・木を切ったり、運んだりして楽しかった。
             ・とにかくおもしろかった。
             ・この次までに、何か住んでるといいな。  

第4回ビオキッズ体験学習(H13.07.29)
前回創った「しつらえ」に新たな生命が宿っているのか?子供達に「自然の偉大さ」「命の大切さ」を伝えるという意味では、今回の体験学習はとても重要なポイントです。
我々と同様に子供達も気になっていたのでしょう、「何種類の生物を見つけられるかチーム毎に競争だ!」の号令の後に子供達が真っ先に向かったのはやっぱり自分が担当した「しつらえ」でした。

  <トカゲハウス>   トカゲはいなかったようですが、バッタやコウロギがいました。
  <クワガタハウス> カナブンの幼虫がいました。
  <ハチハウス>   ハチはいませんでしたが、巣をつくった形跡が残っていました。

子供達は、ねらいと違う生物がいたにもかかわらず、それぞれの成果に一喜一憂していました。。その後の魚とりも大分うまくなって「メダカ」「ザリガニ」「カエル」等、何種類もの生物を見つける事ができました。

今回、やっと形がみえてきたビオトープの名前を考えてもらいました。個性溢れる命名に子供達のそれぞれの思いと感性を感じました。
<名前カードより抜粋>
             ・生物でろでろランド
             ・緑のかがやきパーク
             ・協力の里
             ・もろモロコがいる、もろ楽しい村 
第5回ビオキッズ体験学習(H13.09.23)
最終回の今日は、「子供達の自主性を育む事」が目的です。それは、これからも子供達同士でここに遊びに来て欲しかったからです。そして、彼らには生物について解説したり、仲間をまとめたりする「ガキ大将」になってもらいと考えました。
具体的には、チームリーダーのアドバイスを極力控え、子供達だけでチーム行動を決めてもらいました。
実際のところ、うまくチームがまとまるかとても心配で、場合によっては今まで通りチームリーダー主導にしようと考えていました。

ところが、そんな心配をよそに各チームしっかりまとまって行動していました。
今まで、チームリーダーの言う事を聞かなかった「ワンパク4年生」が小学6年生のお姉さんの言う事をしっかり聞いているのを見てビックリ!魚のとりかたも半年前に比べると随分上手になっていますし、みんなの前でのチーム発表も堂々としたものです。我々の想像以上に彼らはしっかり成長していました。

ビオトープの名称も「ビオキッズの里」に決まり、看板の除幕セレモニーではみんな大喜び!みんなの気持ちがひとつになった事を確信しました。
「ビオ」という言葉には「野生生物」という意味の他に「命」という意味もあります。この体験学習を通して彼らは間違いなく「命の尊さ」を理解した「ビオキッズ」になったと言えるでしょう。
いつまでもこの場所を、この気持ちを忘れないでもらいたいと思います。
<S君の日記より抜粋>

今日は「ビオキッズ体験学習」でした。本当は友達と行く予定だったけど、急に都合が悪くなったので1人で行きました。
最初は生物の観察で、チーム毎に何種類の生物を見つけられるかを競争しました。ぼくのチームは「メダカ」「ドジョウ」「フナ」「小さいコイ」「カワバタモロコ」「マムシの死体」「ドロバチ」を見つけましたが、他のチームは「カエル」や「カエルになりかけたオタマジャクシ」「オイカワ」なども見つけていました。それをみんなで発表した後、ビオキッズ卒業という意味で「修了証書」をもらいました。
この体験学習に参加して、カワバタモロコという貴重な魚がいる事、メダカなどがたくさんいる自然に恵まれた川がある事、他にもいろいろな事を学びました。本当に参加して良かったです。    
最後に・・・
不登校・イジメ・引きこもり・非行・犯罪・等々青少年に関わる様々な問題が社会的に取り上げられてすでに数年が経ちます。
「友達と遊ぶ時間や場所が少なく人付き合いが学べない」「テレビゲームばかりやっているので生命の尊さが解らない」「親のしつけが悪い」「学校教育が悪い」などと多くの方が分析、解説していますが、では具体的にどうすれば良いのかは誰も教えてはくれません。そんな中で、「明るい豊かなまちづくり」を目指す我々青年会議所ができる事は何か…そんな思いでこの事業はスタートしました。つまり、家庭でもない、学校でもない、「地域での教育」のひとつとして市民の皆様にご提案しようという事です。

子供達に伝えたい事はふたつ「力を合わせる事の素晴らしさ」と「命の尊さ」です。
このふたつを伝える為の手法として選んだのが「ワークショップ形式でのビオトープづくり」です。
我々の考える「ビオトープづくり」とは、現状を知り、なぜそこにビオトープが必要なのかを理解し、どんなビオトープをつくるかを自分達で考え、実際に自分達の手でつくる。そして、その後も観察を続けながら必要であれば改善していくという一連の活動の事です。この一連の活動をチームに分かれて行う事によって、ふたつのメッセージが伝えられると考えました。

青年会議所の活動は1年で担当者が変わってしまいます。この1年間という限られた時間の中でこの事業の立ち上げから精一杯努めて参りました。その中で、間違いなく子供達にふたつのメッセージが伝わったと確信しております。しかし、「ビオトープ」というハードにしても「青少年育成プログラム」というソフトにしても、まだまだやるべき事は数多くあります。この報告書を参考にしていただき、この事業が来年、再来年と継続されていく事を強く望みます。

最後に、この事業を進めるにあたり、山田先生、金川先生をはじめとしてご協力いただいた多くの方々に感謝申し上げて報告とさせていただきます。ありがとうございました。



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